【告知義務あり】過去に雨漏りやシロアリ被害があった中古一戸建ての、現状有姿・不適合責任免責の重説事例


今回は、実務で特に神経を使う「過去に雨漏りやシロアリ被害があった中古一戸建て」かつ「現状有姿・契約不適合責任免責」という条件が重なった重説の記載事例を解説します。

対象物件の前提条件(事例設定)
  • 所在地 :大阪府吹田市千里山西◯丁目(築32年・木造2階建て・中古一戸建て)
  • 売買条件 :現状有姿(現況有姿)、売主の契約不適合責任は全部免責
  • 過去の履歴
    • 5年前:2階南側洋室のサッシ上部から雨漏り発生。防水補修工事済み(以降、再発なし)。
    • 3年前:床下点検時に玄関付近のシロアリ被害(蟻害)を発見。防除駆除工事を実施(5年間の防除保証書あり、残存期間2年)。

1. 重要事項説明書(重説)への具体的な記載事例
【項目の選択】
宅地建物取引業法第35条第1項第1号(当該宅地又は建物の瑕疵)および同項第14号(その他買主の判断に重要な影響を及ぼす事項)に関わる内容として、「建物の状態に関する事項(告知事項・容認事項)」 の欄に記載します。
【重説本文の記載文例】
【建物の過去の履歴に関する事項(告知事項・容認事項)】
本物件は築32年を経過した中古一戸建てであり、過去に以下の雨漏りおよびシロアリ被害の履歴があります。買主様はこれらを十分に容認した上で本契約を締結するものとします。
① 過去の雨漏りについて
売主の申告(物件状況報告書)によると、2021年(令和3年)頃、2階南側洋室(図面参照)のサッシ上部から雨漏りが発生した経歴があります。その後、売主の費用負担にて外壁サッシ周りのコーキング打ち替えおよび防水補修工事を実施しており、以降本日までに雨漏りの再発は確認されておりません。
② 過去のシロアリ被害(蟻害)および防除履歴について
2023年(令和5年)頃、定期点検において玄関框(かまち)下部および床下の一部にシロアリの被害が確認されたため、同年に専門業者(◯◯白蟻防除株式会社)による駆除および防除工事(薬剤散布)を実施しています。
なお、当該工事には5年間の保証(2028年◯月まで有効)が付されており、本契約に伴い当該保証名義の変更手続き(※費用は買主負担)を行うことで、残存期間の保証を引き継ぐことが可能です。

2. 売買契約書(特約)への連動と記載事例
重説に記載するだけでは、契約不適合責任免責の効力を100%発揮できません。売買契約書の特約(契約不適合責任の免責)において、上記で説明した内容を明記し、「買主がこれを承知で買い受けること」を法的合意に変える必要があります。
【特約制限・免責の文例】
(現況有姿および契約不適合責任の免責)
売主および買主は、本物件が築32年を経過した経年構造物であることを相互に確認し、本物件を現況有姿(現状有姿)にて引き渡すものとします。
2. 売主は、本物件の建物および諸設備について、一切の契約不適合責任(隠れたる瑕疵を含む)を負わないものとします。
3. 買主は、重要事項説明書および物件状況報告書に記載された「過去の雨漏り履歴(2021年実施の防水補修済)」および「過去のシロアリ被害・防除履歴(2023年実施、2028年まで保証残存)」の内容を十分に説明を受け、かつ理解した上で本物件を買い受けるものとし、引渡し後にこれらに起因する修復、損害賠償、契約解除等の請求を売主に対して一切行わないことを異議なく承諾しました。

3. 実務調査で専門家がチェックしている裏付けポイント
仲介会社様から調査を委託された際、当方では単に売主様の言葉を鵜呑みにせず、以下の書面によるエビデンス(裏付け)を確認し、重説に添付・反映させています。
  • 雨漏り :当時の「補修工事請負契約書」「請求書」「工事完了写真(あれば)」の有無。
  • シロアリ :施工業者が発行した「施工完了報告書」および「シロアリ防除(蟻害)保証書」の原本確認。保証の承継(名義変更)が可能な業者かどうかの規約確認。
現状有姿・不適合免責の取引であっても、「過去の事実をどこまで正確に開示していたか」 が、将来のトラブル(告知義務違反を理由とする契約解除や損害賠償請求)を防ぐ唯一の盾となります。

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