【未登記増築あり】登記簿の床面積と現況の建物面積が異なる一戸建ての、課税台帳照合と重説記載の事例


今回は、東大阪市の事例をもとに、登記簿と現況が相違する一戸建ての「課税台帳照合ステップ」と「重説への落とし込み方」を、実務に即して解説します。

1. 課税台帳の照合実務(東大阪市の事例)
まずは、登記簿(全部事項証明書)の面積と、役所で取得する公的書類の数値を突き合わせる「名寄帳(課税台帳)照合」のプロセスです。
事例物件の概要
  • 物件所在地:大阪府東大阪市宝持
  • 建築確認時の主たる建物:木造瓦葺2階建(昭和58年新築)
  • 登記簿面積:1階 50.00㎡ / 2階 40.00㎡(延床面積 90.00㎡)
ステップ①:東大阪市役所での名寄帳取得
東大阪市役所の税務部門で「名寄帳(課税台帳の写し)」を委託元からの委任状にて取得します。
名寄帳の「建物」欄を確認すると、以下の表記になっていました。
  • 家屋番号:〇〇番〇
  • 課税床面積:1階 50.00㎡ / 2階 45.00㎡ / 未登記附属家 12.00㎡(総延床面積 107.00㎡)
ステップ②:数値の不一致を解析する
登記簿の延床(90.00㎡)に対し、課税台帳の延床(107.00㎡)が17.00㎡上回っていることが判明しました。内訳は以下の通りです。
  1. 2階の5.00㎡の差
    2階の和室の外側にあったバルコニー部分を、過去にサンルーム(増築)として部屋の一部に取り込んだ可能性が高い。
  2. 未登記附属家 12.00㎡
    敷地内の北西角に、1階建ての軽量鉄骨造物置(プレハブ)が固定資産税の課税対象として認定されている。
ステップ③:現況(現地調査)との照合
現地にて外見からの目視、およびレーザー距離計による簡易計測を実施します。
結果、2階サンルーム部分および北西角のプレハブ物置の実在を確認。これにより、「未登記の増築」および「未登記の附属建物」が存在し、東大阪市(課税課)はそれを捕捉して課税している(=固定資産税は現況ベースで既に対象となっている)ことが裏付けられました。

2. 重要事項説明書(重説)への記載事例
調査結果をもとに、委託元である不動産会社様がそのまま使用できるレベルの重説記載文(法第35条第1項第1号:登記された権利の種類・内容、および建蔽率・容積率の項目)を書き起こします。
①「建物の表示」欄への記載
登記簿上の面積を主文として記載した上で、備考欄や特記事項に以下の文言を明記します。
【登記面積と現況面積の相違について】
本物件の建物面積に関し、登記簿上の延床面積は90.00㎡ですが、東大阪市の固定資産課税台帳(名寄帳)上の課税床面積は107.00㎡となっており、現況とも概ね一致しています。
  • 相違の内訳
    1. 2階部分:過去の増築(サンルーム部分:約5.00㎡)が未登記状態です。
    2. 附属建物:敷地内北西角に存する軽量鉄骨造物置(約12.00㎡)が未登記状態です。
②「建蔽率・容積率(法令に基づく制限)」欄への記載
未登記増築がある場合、最も注意すべきは「現在の容積率・建蔽率が制限内に収まっているか(適法か否か)」です。
  • 東大阪市宝持の当該地が「第一種中高層住居専用地域(建蔽率60% / 容積率200%)」、敷地面積が80.00㎡だったと仮定します。
【建築基準法等の適合性に関する特記事項】
本物件は、未登記増築部分(計17.00㎡)を含めた現況延床面積(約107.00㎡)で計算した場合、容積率が133.75%となり、指定容積率(200%)の範囲内です。また、建蔽率(現況約55%)についても指定建蔽率(60%)の範囲内であることを確認しております。
ただし、建築確認申請等の手続きを経ずに増築された可能性が高く、建築基準法上の違反建築物に該当する場合があります。これにより、将来的な再建築や同規模での増改築の際、現行法への適合を求められるほか、住宅ローンを利用する際、金融機関の審査に影響を及ぼす可能性があります。
③「その他(特記事項)」欄への記載(売主の責任免除など)
売買契約後のトラブルを防ぐため、引渡し条件を明確にします。
【未登記増築部分の現状引渡しについて】
買主は、本物件に未登記の増築部分(2階サンルームおよび敷地内物置)が存在すること、および登記簿床面積と現況床面積に相違があることを承知の上で、現況のまま引渡しを受けるものとします。
売主は、当該未登記部分についての表題変更登記(増築登記)および滅失登記等を行う義務を負わないものとし、買主はこれに異議を唱えないものとします。なお、引渡し後の固定資産税等の精算は、課税台帳上の床面積(107.00㎡)を基準として算出します。

複雑な物件調査や重説・契約書作成は、関西の不動産実務に強いプロにお任せください
今回ご紹介した事例のように、不動産取引には机上の空論やひな形の使い回しだけでは防げない「現地を歩き、役所とタフに交渉・確認して初めて分かるリスク」が多数存在します。
特に、
  • 【大阪エリアの場合】 狭小密集地や複雑な私道関係、道路種別の判定が絡む
  • 【京都エリアの場合】 日本一厳しいと言われる景観条例や高さ制限、埋蔵文化財包蔵地が点在する
  • 【特殊・難解物件の場合】 権利関係が複雑な相続案件や、一棟収益、告知義務(心理的瑕疵)が絡む
の取引においては、わずかな調査不足や書類の記載漏れが、売主・買主様との大きなトラブルや損害賠償リスク、ひいては御社の信用失墜に直結しかねません。
優秀な営業マンが書類作成のために事務所にこもり、本来稼げるはずの案内チャンスや追客の時間を逃してしまうのは、会社にとって大きな機会損失です。
御社の「専属バックオフィス」として売上拡大を強力にサポート
弊所は、関西圏(大阪・京都・兵庫・奈良)の不動産実務に特化した、経験豊富なプロフェッショナルです。
  • 圧倒的なスピード対応:買付のタイミングに合わせ、迅速に役所・現地調査へ出動。営業活動の足を止めさせません。
  • 地域特有の難解案件に強い:各自治体特有の法規制や、見落としがちな法的リスクを網羅した、実務に耐えうる高品質な重説・契約書を提供します。
  • 完全成果報酬型(スポット利用OK):初期費用や月額固定費は一切不要。1件からのご依頼も喜んで承ります。
「この物件、ちょっと調査が面倒だな」「週末の契約に書類作成が間に合わないかもしれない」「営業マンをコア業務に集中させて今期の売上を倍増させたい」とお考えの経営者様・営業責任者様は、ぜひ一度、弊所の物件調査・重説作成代行サービスをご検討ください。
まずは「自社のエリアでの対応可否」「詳しい料金プラン」「今抱えている案件の相談」など、お気軽にお問い合わせください。
コードを入力してください。:

メモ: * は入力必須項目です