【ハザードマップ該当】土砂災害警戒区域(イエローゾーン・レッドゾーン)内の物件における説明義務と調査事例


今回は、実務で絶対に落とせない「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)」および「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」の解説義務、そして具体的な自治体の事例を交えた調査のポイントを徹底解説します。

1. 土砂災害警戒区域(イエロー/レッド)の概要と重要事項説明義務
宅地建物取引業法(宅建法)に基づき、取引対象の物件が「土砂災害防止法」に基づく区域内にある場合は、重要事項説明が義務付けられています。
イエローとレッドでは、法的な制限や重説への記載ボリュームが大きく異なります。
① 土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)
  • 概要 :急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命・身体に危害が生じる恐れがある区域。
  • 説明義務 :売買・賃貸に関わらず、区域内に該当する場合は重説での説明が必須
② 土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)
  • 概要 :イエローゾーンのうち、建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じる恐れがある区域。
  • 説明義務:イエロー同様の説明義務に加え、「特定の開発行為に対する許可制」 「建築物の構造規制」 について、詳細を重説に記載する必要があります。

2. 調査実務における3つの鉄則
「ハザードマップを見て、色がついていたから書く」だけでは、プロの物件調査としては不十分です。弊所が実務で行っている確認手順を紹介します。
鉄則1:指定・公示番号と「指定年月日」を特定する
重説の「土砂災害防止法」の項目には、ただ「該当する」と書くだけでなく、「〇年〇月〇日告示、第〇号」 という正確な情報を記載します。
自治体のWEB版ハザードマップだけでなく、必ず「土砂災害警戒区域の指定図(公示図書)」までダウンロードして確認します。
鉄則2:敷地・建物の「網羅率」を確認する
「敷地の一部だけがイエローにかかっている」ケースは非常に多いです。
  • 敷地のみ該当(建物は範囲外)
  • 建物の一部、または全部が該当
    これらによって、買い主の心理的心理的ハードルや、将来の建て替え時の融資(ローン審査)への影響が変わるため、図面上で境界線を厳密に判定します。
鉄則3:レッドゾーンは「建築制限」を詳細に追記する
レッドゾーン内の物件を売買する場合、宅建業法第35条第1項第2号(法令に基づく制限)において、都市計画法や建築基準法と並んで以下の点を説明しなければなりません。
  • 構造規制 :居室を有する建築物は、土石流等の衝撃に耐える「RC造(鉄筋コンクリート造)」等にする必要がある。
  • 移転勧告 :危険性が差し迫った場合、知事から移転勧告が出される場合があり、それによる融資(移転資金)の制度があること。

 

3. 【大阪府版】自治体の公開情報をベースにした調査事例
実務のイメージを掴んでいただくため、弊所が実際に大阪府内の物件で調査・確認を行った2つの具体的な事例を挙げます。
事例A:大阪府豊中市宮山町(北摂丘陵地における擁壁とイエローの重複)
  • エリア特徴 :北摂エリア(豊中市・吹田市・箕面市など)の丘陵地帯は、高低差のある閑静な住宅街が多い反面、土砂災害警戒区域が数多く指定されています。
  • 実務での注意点 :豊中市宮山町の高台にある戸建て物件の調査時、敷地南側のひな壇状の擁壁(がけ地)が「土砂災害警戒区域(イエロー)」に含まれていました。
  • 重説への落とし込み :単にイエローゾーンである旨を記載するだけでなく、大阪府の指定図面から「急傾斜地の崩壊」が原因であること、および指定年月日(告示番号)を明記。さらに、大阪府の「建築基準法施行条例第4条(がけ条例)」による建築制限(がけ下・がけ上からの後退距離や防護壁の必要性)も重複してかかるため、ハザードマップとがけ条例の両面から買い主への説明文を作成しました。
事例B:大阪府柏原市大県(生駒山麓のレッドゾーンと移転勧告リスク)

 

  • エリア特徴 :生駒山系に面した大阪東部(柏原市・八尾市・大東市など)の山麓エリアは、傾斜が急なエリアが多く、レッドゾーン(特別警戒区域)が住宅地まで深く食い込んでいるケースが目立ちます。
  • 実務での注意点 :柏原市大県の売買対象地(更地)を調査したところ、敷地の約3割が「土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)」に該当していました。
  • 重説への落とし込み :このエリアでは将来の建て替え時に非常に厳しい制限がかかります。重説の法令制限欄において、居室を有する建物を新築・増築する際は「外壁や柱をRC造にする等の構造規制(土砂災害防止法第24条)」が適用されること、また都市計画法上の「特定開発行為の許可」が必要になるリスクを明記。さらに、大阪府知事からの「移転勧告」の対象になり得る区域であることと、それに伴う融資制度の有無までセットで重説に落とし込み、仲介会社様が後から「説明不備」で突っ込まれないようリスクヘッジを行いました。

 

4. まとめ:委託調査だからこそ「リスクの事前回避」を徹底
ハザードマップの確認漏れは、引き渡し後の契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)や、仲介会社様への損害賠償請求に発展する最たる原因です。

 

「イエローだから大丈夫だろう」「端っこがかかっているだけだから」と軽視せず、正確な指定図面とセットで重要事項説明書を作り込むことが、仲介会社様とエンドユーザー様双方を守ることに繋がります。

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