今回は、大阪府枚方市での実例をもとに、個人間で内定した空き地取引において、なぜプロの仲介(物件調査・重要事項説明書作成)が必要なのか、当社の実務の裏側を詳しくご紹介します。
1. ご相談の背景:個人間で話はついたのに、銀行で「融資不可」と言われた理由
ご相談者は、枚方市香里ヶ丘の戸建てにお住まいのB様。
長年空き地だった目と鼻の先の土地(約40坪)を、所有者である近所の顔見知り(地主様)から「あんたのところの息子さんが家を建てるなら、相場より安く譲ってあげるよ」と声をかけられたのがきっかけでした。
長年空き地だった目と鼻の先の土地(約40坪)を、所有者である近所の顔見知り(地主様)から「あんたのところの息子さんが家を建てるなら、相場より安く譲ってあげるよ」と声をかけられたのがきっかけでした。
B様の息子さんは、その土地に注文住宅を建てるため、地元の地方銀行へ「土地+建物」の住宅ローン審査を申し込みに行かれました。
しかし、融資担当者からの回答は以下の通りでした。
「個人間売買の契約書だけでは融資できません。宅地建物取引業者が作成した『重要事項説明書(重説)』と、業者の記名押印がある『売買契約書』を提出してください」
「個人間売買の契約書だけでは融資できません。宅地建物取引業者が作成した『重要事項説明書(重説)』と、業者の記名押印がある『売買契約書』を提出してください」
銀行が個人間売買に住宅ローンを出さない理由
銀行が頑なに業者を挟むよう求めるのは、主に以下のリスクを避けるためです。
- 物件リスクの不透明さ:法令上の制限(建築基準法など)をクリアしており、本当に家が建てられる土地なのか保証がない。
- 権利関係のトラブル:目に見えない担保(抵当権など)が残っていたり、境界線でもめたりするリスクがある。
- 告知義務の欠如:地中に埋設物があったり、過去に心理的瑕疵(事故など)があったりしても、素人同士では確認・説明ができない。
万が一、融資した後に「家が建てられない土地だった」となれば、銀行は担保価値を失い、大損失を被ってしまいます。そのため、プロの宅建業者が「この物件は安全です」とお墨付きを与えた書類(重要事項説明書)が必須となるのです。
2. 当社(物件調査・重説作成のプロ)の実務プロセス
B様からご相談をいただき、当社の仲介を前提に、「物件調査」および「重要事項説明書・契約書の作成」の実務を担当することになりました。
身内や近所での取引だからこそ、後々トラブルになって関係がこじれないよう、一般の流通物件以上にシビアな調査を行います。
① 枚方市役所等での徹底した「法令上の制限」調査
まずは枚方市役所の都市計画課や道路管理課、水道局などへ足を運び、以下の項目を網羅的に調査します。
- 接道状況の確認:その土地が建築基準法上の道路に2メートル以上接しているか(再建築不可のリスク排除)。
- インフラの埋設状況:前面道路から水道管やガス管が引き込めるか、他人の私地を経由していないか。
- 土壌・災害リスクの確認:ハザードマップ(土砂災害警戒区域や浸水想定など)における位置づけ。
② 現地での「境界・越境」と「利用状況」の確認
近所同士の取引で最も揉めやすいのが「境界」です。
現地にて、隣地との境界杭(金属鋲など)が正しく入っているかを目視で確認します。また、隣の家の屋根や雨樋、ブロック塀がこちら側に突き出ていないか(越境の有無)も精密にチェックし、気づいた点はすべて重説に明記して、お互いの認識を一致させます。
現地にて、隣地との境界杭(金属鋲など)が正しく入っているかを目視で確認します。また、隣の家の屋根や雨樋、ブロック塀がこちら側に突き出ていないか(越境の有無)も精密にチェックし、気づいた点はすべて重説に明記して、お互いの認識を一致させます。
③ 法的な安全性を担保する「特約」の盛り込み
今回のケースでは、住宅ローンを利用することが前提です。そのため、万が一ローンの本審査が落ちてしまった場合に、買主様がペナルティなしで契約を白紙に戻せる「ローン特約(融資利用の特約)」を契約書に必ず盛り込みます。これがないと、ローンが否決されたときに手付金が没収されたり、違約金を請求されたりするリスクが生じます。
3. 結果:無事に満額融資が実行され、円満に取引完了
当社が作成した詳細な「重要事項説明書」と「売買契約書」を銀行へ提出したところ、融資の承認がスムーズにおりました。
重要事項説明の当日は、売主の地主様、買主のB様ご親族にお集まりいただき、私たちが第三者(宅建業者)の立場から、物件のリスクや契約内容を分かりやすく1項目ずつご説明しました。
地主様からも「身内だけの口約束だと後で揉めないか少し不安だったけど、プロにここまで調べて書類を作ってもらえたら安心。安心して土地を引き渡せるよ」とお言葉をいただき、両者ともに笑顔で決済(引き渡し)を迎えることができました。
まとめ:個人間の「合意」の後に、プロの「安全確認」を
親族間や近隣での不動産売買は、売り手と買い手の信頼関係があるからこそ話が進みます。しかし、「住宅ローンを通すため」「将来のトラブルを防ぐため」には、感情や信頼関係とは別次元の、法的な手続きと客観的な調査が絶対に欠かせません。
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今回ご紹介した事例のように、不動産取引には机上の空論やひな形の使い回しだけでは防げない「現地を歩き、役所とタフに交渉・確認して初めて分かるリスク」が多数存在します。
特に、
- 【大阪エリアの場合】 狭小密集地や複雑な私道関係、道路種別の判定が絡む
- 【京都エリアの場合】 日本一厳しいと言われる景観条例や高さ制限、埋蔵文化財包蔵地が点在する
- 【特殊・難解物件の場合】 権利関係が複雑な相続案件や、一棟収益、告知義務(心理的瑕疵)が絡む
の取引においては、わずかな調査不足や書類の記載漏れが、売主・買主様との大きなトラブルや損害賠償リスク、ひいては御社の信用失墜に直結しかねません。
優秀な営業マンが書類作成のために事務所にこもり、本来稼げるはずの案内チャンスや追客の時間を逃してしまうのは、会社にとって大きな機会損失です。
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弊所は、関西圏(大阪・京都・兵庫・奈良)の不動産実務に特化した、経験豊富なプロフェッショナルです。
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